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会派の行政視察「新山口駅ターミナルパーク整備事業」

会派の行政視察2日目は、山口県山口市です。新山口駅ターミナルパーク整備事業について、現地を視察しながら説明を受けました。新山口駅ターミナルパークは、「山口県の陸の玄関としての快適かつ個性的な都市空間の形成」を大目標に掲げて整備が進められています。「駅」が単なる駅機能に留まらず、新しい概念・コンセプトのもとに整備された先進例です。総事業費は約160億円、事業期間は平成22年度から平成31年度で、現在は約80%が完了した段階だそうです。

松本市では、JR村井駅整備計画の検討がいよいよ具体性を帯びてきました。JR松本駅にしても、そう遠くない将来には再整備を求められる時がくることでしょう。規模はそれぞれに異なるものの、駅には本来の駅機能の利便性を備えた上で、まちの玄関にふさわしい姿であることはもとより、周辺のにぎわいを創出し、市内の活性化へとつながっていくような機能やあり方が求められていると感じます。

山口市は、平成20年に「山口・小郡都市核マスタープラン」を策定し、広域県央中核都市の創造に向け、その中心となる広域交流拠点である都市核の機能強化に向けた方策を取りまとめたそうです。同プランは、目指す小郡都市核の姿を、「地域を豊かにする経済(ビジネス)のまち」「新たな交流が生まれ、始まる融合のまち」「山口県の陸の玄関にふさわしいシンボリックなまち」「誰もが住みたくなるような快適なまち」と定めており、ターミナルパーク整備は、その具現化に向けたプロジェクトとして進められているものです。新山口駅北地区拠点施設整備事業は、7つの個別事業(橋上駅舎・北口駅前広場・南口駅前広場・南北自由通路・既存自由通路・市道矢足新山口線・アクセス道路・エリア内道路)から構成されていますが、「山口県ナンバーワンのビジネス街の形成を目指して」と銘打った「小都都市核づくりのリーディングプロジェクト」であるようです。平成17年の合併当時の市長の発案に端を発し、現在は事業の約80%が完了した状況であると聞きますが、最も大変だったのはJRとの協議で、例えば広場使用の合意には2年間を要したといいます。

このうち「新山口駅北地区重点エリア整備」は、平成27年に策定された「新山口駅北地区重点エリア拠点施設整備実施計画」により、「出会う つながる 生まれる 広がる」をコンセプトに、「産業創造」「にぎわい創造」「生活文化創造」の3つの視点に立った核施設として、新山口駅北地区に拠点施設を整備することとしています。

新山口駅北地区拠点施設整備事業は、高速交通網の交通結節点という特性を活かし、本施設を整備することで新たな交流を生み出して、人と人とのネットワークを構築、新しい知恵や創造性へとつなげるとともに、生み出される活気とにぎわいを市全体へと広げ、広域県央中核都市の創造をより着実なものとすることを目的としているそうです。同事業では、産業交流拠点としての機能強化を図るとともに、市民から親しまれ、日常的なにぎわいを創出していくために、官民が連携した取り組みを目指し、公共施設と民間施設を併せて整備。2,000席の収容能力を有する多目的ホールや、産業支援機能、会議室やスタジオなどを備えています。

新山口駅は広大な敷地の中央に位置し、北側には路線バスを集約したバスロータリーなどがある駅前広場と多目的ホールや企業創業・中小企業支援センター、交流目的シェアハウスなどの建物があります。北口と南口(新幹線口)とは南北自由通路で24時間自由に往来でき、このことが一体感の創出に大きく貢献しているようです。通路には、フランスの植物学者にしてアーティストのパトリック・ブラン氏が、山口の植生植物でデザインした「垂直の庭」が設けられて話題を呼んでおり、通り過ぎずに「過ごす通り」として、魅力あふれる駅空間を形成しています。また、ここでは消火栓ホースやAEDといった実用品までもが、透明なケースに収められて洒落たインテリアとなっていることも印象的でした。

整備事業の特徴的な項目の一つとして、起業創業支援、多目的ホール、アクティブスタジオといった公共機能に加えて、民間による民間提案機能を導入し、より魅力的でにぎわいのある施設整備がなされていることが挙げられましょう。これは、民間事業者のノウハウ、ネットワーク、技術力、創意工夫等を取り入れることで、コスト削減やサービスの向上、高次都市機能の集積、多様なにぎわいの創造、魅力あふれる都市空間の創出等の事業効果が得られるといった狙いのもとに、公共施設の設計・建設・維持管理・運営および民間収益施設の整備・運営を一体的に担う事業者グループが、公募型プロポーザル方式により選定されているところからきています。民間力の活用は、本市にとっても課題ではないでしょうか。

歴史の舞台として興味深く、魅力的な文化都市・山口市。新山口駅の南北自由通路や駅前広場は、様々なイベントに利活用されているとのことでした。明治維新150年の今年、9月から11月にかけて「山口ゆめ花博」が開催されると聞きます。多くの人々が駅を行き交い、大変なにぎわいを見せるに違いないと思いながら、移動の途につきました。

そうそう、写真は山口県の話題の銘酒「獺祭」とフグ煎餅。旅の土産です。

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