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立春の森失言に思う

立春。「節分は 2月 3日」と思っていたら、今年は124年ぶりに 2月 2日が節分で、本日・3日が立春にあたるのだそうです。 このところ好天続き、陽光の中に力が漲ってきたようにも感じます。庭の梅の蕾が少し膨らんできました。食用菊の新芽も青々としてきました。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(元総理)が、本日のJOC臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言されたそうで、大きなニュースになっています。女性軽視・蔑視の発言だとして、国内外から批判の声が上がっているようです。第一報を聞いた時、私にさほどの驚きはなく、「あーあ」と思いながら苦笑しました。「女はおしゃべり好き」と信じ込んでいる人は多かろうし、物事の傾向を性別で決めつけることも未だありがち。こうした意識は、DNAの中に組み込まれているかと思うほど根深いと感じます。

私は、平成19年から23年まで長野県男女共同参画審議会委員(会長代理)を、また、平成22年から24年まで松本市男女共同参画推進委員会委員(副委員長)を務めて、県や市の推進計画策定などに深く関わってきました。同時に、男女共同参画という問題をテーマに県内各地で講演活動を行ったり、松本市寿台公民館長時代には、男女共同参画を切り口として人権啓発の取り組みを積極的に進めるなどして、心を砕いてまいりました。「男女がともに手を携えて進む、明るい地域づくり」を目指してです。

さて、私が生まれた瞬間に、曾祖母は「なんだ、女か」と言ったそうです。曾祖母も女のはずですが、そういう時代だったのです。「男は男らしく、女は女らしく」が大切で、「男のくせに、女のくせに」という言い回しも当然にありました。農村に生まれた私は、農家のお嫁さんたちの人生が如何に大変かを目の当たりにして育ってきました。国中が貧しい時代でしたから、私の男女共同参画に関する問題意識の出発点は、「女性も仕事をもって輝いて生きる」などという格好の良いものではなく、人権問題そのものです。

「なんだ、女か」という言葉で迎えられてから65年余の歳月を経て、事態はかなり改善されました。松本市議会の性別構成は、議員31人中、女性議員が11人。これまで性差による不快感を抱いた記憶はありません。男女共同参画の推進には「暮らしを取り巻く法や制度の整備」「男性の理解と協力」「女性の自覚と努力」が不可欠ですが、法や制度が整えば整うほどに、問題は深く潜んでしまう。だからこの際、森会長発言問題によって日本の実態が世界中に露呈したことを、起爆剤を得たと考えたらどうでしょう。残る焦げ付き課題が一気に改善するかもしれません。

ところで、東京五輪は果たして実現するのでしょうか。新型コロナウィルス感染が初夏までに収束するとは思えず、難しさを予感しているのは私だけではないと思います。JOC理事の中に「中止を議論した方が良い。開催は難しいのでは」という意見の女性理事がいて、「新型コロナウィルスがどうであろうと、必ずやり抜く」希望の森会長は、彼女を狙い撃ちしたという噂も。やれやれ、オリンピックは「平和な世界を象徴するスポーツ大会」であってほしいですね。

 

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